【人】 小泉義哉[布団も敷かずに転がった気がするが 目が覚めた場所はベッドの中だった。 やけに大きく、枕も二つ並んでいたが 一人で広々寝ていてもむなしいだけだ。 全く見覚えのない部屋には、自分一人。 部屋の中心にはテーブルがあり ラミネート加工された紙が一枚置かれている。 ホテルによくある施設説明だ。 訳も分からぬままにぺらりと手に取ると 小さく音を立てて何かが落ちた。 拾い上げるのは後にして紙を読むと 馬鹿馬鹿しい脱出方法が簡潔に記されていた。] (72) 2021/06/04(Fri) 21:25:40 |