【人】 3年生 黒崎 柚樹……………………。 ["ここ"では、自分たちこそ、"異質な存在"なのだと。 そう告げられているようで見ていられず、私はのろのろと、自分達のテーブルの皿の残骸を片付けに動いた。 重ねた皿を手に、通常、客が入ることのないレストランの厨房エリアを覗き込む。 そこにはきっとカレーライスやハヤシライス、その他諸々、下ごしらえ済のソースや食材があったはずだろうに、それもやっぱり無くて、がらんどうになっていた。 ただ、ショーケースタイプの冷蔵ケースには、ケーキやサンドイッチ、他に色々、テイクアウト向けの品々が、数十分前に見た光景のまま、ふんだんに詰め込まれていた。 ケースの上には土産用のパンやジャム、"お腹が空いたらこれを喰え"と言わんばかりに。] ねえ……色々、おかしいよ。 "現実"じゃ、ないみたい。 [見たものを告げに2人の元に戻った私は、きっと顔色を失くしていたと思う。 現実じゃないなんてこと、客やスタッフの姿がかき消えている事で、とうに思い知っている筈なのに。**] (72) 2022/09/04(Sun) 6:55:00 |