【人】 二年生 田邊 夕鶴― 回想:ちっちゃな頃の、花巻さんと ― [初めての、一人きりのお使い。 できると言った手前、帰る事もできなくて。 そこが見知った場所でも、 幼かった私は心細くて、緊張しきりだった。 だから、屈託なくニコニコと笑って 水羊羹を勧めてくれたその子に、>>0:326 私は救われた気分になって、 詰めていた息をほっと吐き出したのを覚えている。] う、うん。あのね。 水羊羹、うちのおばあちゃんも好きなんだって。 ここがいちばん、って言ってたよ。 それに、入れ物がかっこいい! [最後のは、私の感想。 祖母は何度も食べた事があるのだろうけれど、 私が花巻庵さんの水羊羹と出会ったのは、この時が初めてで。 パック入りの水羊羹しか見た事のなかった私にとって、 竹の容器は何とも言えない特別感を放っており、 まずはそこに大注目してしまったのだ。なんせ子供だから。] (72) 2021/07/23(Fri) 15:31:56 |