【人】 第11皇子 ハールーン[緊張が勝っていたか──いや、そうでなくとも自分は鈍い、>>70の気配には気づかず性急に陣を開いてしまっていた。臨機応変がきかない自分の代わりに対応してくれたダレンに、感謝を告げる。 そうして本宅の屋敷手前まで転送されれば、タイミングを同じくしてアンタルが現れる。] 『よォ!ハールーン!昨日ぶりだな? お帰り……とは言われたくねぇか。』 [まぁでもお帰り!と豪快に頭を撫でられ、ダレンと挨拶を交わした兄は、自らが立っている陣の中へ自分達を招いた。 そこに足を踏み入れたその一瞬後には、見覚えのある敷地内だ。 白を基調としたこの建物は、光をよく反射して明るい。そして天井が高い。一階も二階も等しく高い。通路は風通しの良い造りで、庭で舞う噴水らがほどよく空気を潤してくれている。水の音が、心地良い。この噴水を2階の自室から眺めているのが好きだった。 あの頃充分に背の高かった樹木は、更に伸びていて。二階も3分の1が隠れるほどになっているのではないだろうか。 アンタルの案内を受け、ついていく。恐らく招かれるのは2階にある広間だ。] . (72) 2021/04/21(Wed) 23:31:47 |