【人】 小さな心 サルガス>>70 昼過ぎ メレフ 「だいじょうぶ、だいじょうぶだ。ああでも午後、おやすみ、もらったんだ。 だからね、へいき。うごけるよ。みんなのこと、それに、解決のほうほう、さがさなきゃ」 声は濁り、喉の裏側をえぐるように低く鳴らす。普段のようにアルトは通らない。 横倒しになった顔は痛みのせいかみるみる紙のように白く青ざめる。 襟首を広げてみるならば、よくよく見れば白い包帯が覗いていた。 「メレフ、むりに、触らなくていいよ……ころんだ、だけだもの。へいきだよ。 ねえ、メレフ、あれから、なにかあったんでしょう。きみのほうが、ずっと心配だ」 それでも。案じ、思い起こすのは朝方の貴方のひどく弱った様子のほうで。 ななふしのように細い腕に力をかけて、体を起こそうとする。 なにか、話したいことが、或いはこれからについて、相談したいことがあるのだろうと、 そればかり気にしているのだ。 (72) 2021/05/30(Sun) 1:54:20 |