【人】 害のない毒 マキアート>>62 ヴェルデ 「……そんなものか」 優劣を比べ合うのに意味はない。 キミも理解を示してくれるなら、 きっと気にしなくてよかったことに違いない。 「そうだね。“当たり前”だ。 逆に言えば無理に同じにならなくてもいい。 多様性の尊重……皆が皆、そういう考えでいてくれたらこの街ももう少しは平和だったんだろうけど」 指された方に目を向ければ、 ああ、とか何だか懐かしむような声をあげる。 「いるだろうねえ、蛇。触ったことあるよ。 オレはどうしても好きになれなかったけど。 でもよくよく顔を見てみると結構愛嬌があるんだ。 虫のことを可愛いと愛でる知り合いも知ってるし……思う以上に人の差って激しい者なんだよなあ」 それが生活が豊かである故の知見ではなく、見世物小屋で培った経験であることは知る由もないだろうが。 ただ、人は色々な育ち方をしてるわけである。 「有意義な話だったよ、ボク。名前を聞いてもいいかな? オレはマキアート。この辺の賭博場で働いてるんだ」 (73) 2022/08/14(Sun) 17:13:00 |