【人】 清和>>58 宵闇 「ああ、久しぶり……その呼び方。出会った頃を思い出すな。 また一緒に怒られるか?帰ってきてるんだからな、あの人も」 ピアノなんて女のやるものだろと言っていた、かつて宵闇の姿を思いだす。 彼の家のピアノ教室にも通っていた清和は、女みたいな名前の男だったのも相まって彼から強く対抗心を燃やされたものだった。 からかうように名前で呼ばれていたのもその頃で、小さな諍いを起こしていたふたりで『鬼』のお叱りを受けたような記憶があったような気もした。 「そうだな、偶然だ。だけど、10年っていうのはちょうどいい。 だが、それだけに忘れられてしまうこともある…… 改めて言わせてもらいたいな、俺は。お前にぎゃふん、と」 (73) 2021/08/09(Mon) 23:40:18 |