【人】 第11皇子 ハールーン『今日は帰るのか? お前の自室、今朝方アーイシャが来て掃除して 行ってたぜ? 泊まって行ったらどうだァ? ダレンくんは隣の客間を使やぁ良いだろうしな』 [アーイシャという自分の乳母は、自分が別宅に引き籠ってからも定期的に本宅の部屋を整えてくれていた。 もう帰らないと言っているのに、そうされるのが昔は嫌だった。責められているようで。] ううん、帰るよ。 俺はもう、ここに住む資格はないんだから…… ありがとう。 『──そんな難しく考えなくたって良ンだぜよ 家族なんだから。』 [──『家族』 その言葉は、この家ではとても重く響いた。 命の取り合いをするのが家族なのだろうか。そんな捻くれた思いが浮かぶ位には心にのしかかったままの、あの日々を感じる。 そうなのだ、ここに来ると終わってくれない何かがある。]* . (73) 2021/04/21(Wed) 23:35:38 |