【人】 野性のファイター ファルーサ騒がしい煉獄のタウンを通り抜け、ひとけ少ない路地裏に来た。 俺がよく通る地域のひとつで、 喧嘩上等のならず者がよくうろついている。 その道端で、ひとりのガキが泣いていた。 "…………うええん……ひっぐ……ひっぐ…………" あれはおそらく煉獄に来たばかりの子供だろう。 親も兄弟もいない状況に寂しくて泣く奴がたまにいるのだ。 こういうのは狩る対象にもならねえ。 無視して立ち去ろうとしたけど、 ───どうしてか、世話焼きな天使のことが脳裏をよぎった。 あれは神の力を借りて見通す。 煉獄の住人たちの人生を。 このガキの人生を見た時、 いま涙にまみれているガキの目を通して、 俺の姿も映るんだろうか。 (74) Oarsman 2021/09/18(Sat) 19:16:05 |