【人】 黒眼鏡>>70 ダニエラ 「はいよ、砂糖が2つ〜」 長い手足を、狭いカウンターの中で窮屈そうに動かしながらサイフォンに火をかける。 ゆったりとしているように見える動きだったが、かちゃかちゃと見えづらい作業が手際よく行われ、香りが漂い出してからは早かった。 「はい、コーヒー。 がんばってブレンドしたからさあ、そう言ってくれると嬉しいね」 笑いながら、カウンターにカップが置かれる。 ふわり、と漂う湯気と香りの中、サングラス越しの視線女の顔で止まった。 「…見覚えある? かもしれんなあ。 ナンパじゃないぞ。 どちらにせよ、綺麗なお嬢さんにはサービスね」 コーヒーカップに添えるように、クラッカーの箱が置かれる。 紙箱に何袋か入っているタイプのものだが…一袋は開封済みだ。 さっきまで食べていたやつだろう。 #Mazzetto (74) 2023/09/09(Sat) 10:01:00 |