【人】 小さな心 サルガス>>73 昼過ぎ メレフ 「……がんこ、なんだもんな。ぼくも、そうみえるのかもしれないけれど。 ぼく、あんまりだれかに話すの、とくいじゃないんだ。……お兄ちゃんだもの」 いつでも、一人きりで頑張ろうとしていたのは、それが自分が立っていられる理由だから。 口にしてしまえばそこから瓦解してしまいそうで。 話し始めるまではさらに随分時間が掛かった。どうしても、誤魔化してしまいたいように。 黙りこくっていれば背中に隠していられるのではないかと、状況は拮抗していた。 それがずいぶんと続いて、埒が明かなくなってしまってから、ようやく口を開いた。 「……教員棟を、さがしてみてたんだ。 こんなにたくさんいなくなったから、一人くらいは見つかるかもしれないと思って。 森の中にひとをかくすのは、たいへんだから、そっちじゃないかなってかんがえたんだ」 (75) 2021/05/30(Sun) 2:33:35 |