【人】 知情意 アマノ>>75ルヴァ 「君であればそうだろうと思っていたが、やはりか。なら……私から口を出すことはないだろうな。君の知性に私は信用を置いている」 尊重する意思もまた、ある。自分一人が尊重したところで、というところはあるが。 「私の場合、この場面だと感情に従った方が君好みの結果が得られそうな気もするがね。そこは互いにとって都合のいい未来を目指すこととする。君は君の『愛』に殉じればいい」 この無礼講の場で出会い、ほんの僅かな間交わった縁だ。情のために罪を引き受けられているわけでも情のためにあなたの頼みを聞くわけでもない。 情がないとは言わないが、情と表現するのは何か違う気がするので。 「エリアから抜け出す件については私が改めて動かずとも、といったところではあるが頼みは聞き入れよう。保険は多いに越したことはない」 きっと暫くすれば、それこそあなたが凍土に行くなり封じられるなりすれば忘れ去られる程度のそれを保険と呼んでいいかは分からないが。 男は、あなたの問いに近いそれにほんの一瞬だけ思考を巡らせてから。 「遺言は遺言で一応受け取ってはおくが、それは言うまでもないことだろう。私が君という知性を忘れるなどという惜しいことをするわけがない。 それと……そうだな、」 す、っと人差し指を立てて。 「 次会う時には もう少し君の彼女について話を聞かせてもらいたいが、構わないかね?」 (76) 2021/10/19(Tue) 0:08:47 |