【人】 二年生 田邊 夕鶴[そんなある日の事。やっぱりお使いに行く道中で。 前日はお祭りだったので、 そういえばいつも可愛い服を着ているあの子は、 お祭りに行ったら、どんな恰好をするのかなって、 会ったら聞いてみようと思っていた。 私は、その子を可愛くないと思った事は一度もなかった。 ]可愛らしいレースやリボンを、似合わないと思った事も。 それは、子供らしい丸みがあったからとか、 男女の言う「可愛い」の尺度の違いとか、 色々理由を付ける事もできたかもしれないけれど。 あの頃、きりりとした顔立ちの中心で、 いつも生き生き、きらきらと輝いていたその目が、 私は好きで。とても魅力的だと思っていたから。 どんな服だって着こなしているように思えたのに。 だからね。髪の長さより、着ているものより、 その表情が翳ってしまう、それが一番―― (76) 2021/07/23(Fri) 15:39:08 |