![]() | 【人】 日本舞踏家 月嶺 澄翔お昼……、そうですね、何か食べてから……。 [出版社を辞し、1階受付の上に掲げられた時計を見やり。 時間的にも何かお腹に入れてから実家に向かうで大丈夫そうですねと頷いた。 衣服は整っているしこのままで大丈夫ですかと、"敵地"に敵方の和服で赴くことになる圭吾さんに視線を向ける。 和服を纏う僕らプロの目から見ても(勿論贔屓目も抜きにして)、圭吾さんの和服姿は全く"着させられている"風なところはなく。 むしろ堂々、お祖父様に対峙するのに過不足ない装いのように思われた。 そして圭吾さんの部屋に暮らすと決めた一昨日から、圭吾さんは何かにつけ、「何を食べたい?」などと僕に尋ねてくるようになっていて。 それは自分では食べたいものもしたいことも決められない環境にいた、僕への訓練のようなものかなと思っている。 言葉に詰まれば、これとこれならどちらが良い?みたいな聞き方をしてくれるのもよくあることで。] (77) Valkyrie 2025/08/21(Thu) 7:38:46 |