【人】 アジダル[ 画面の向こうにいた英雄は太陽を背負っていた。 真っ新な拳を祈るように振るい、 守る手を開いて弱きものに伸ばしていた。 それを取れるのは守られる人が他人を信じられるからだ。 生憎と路地裏ではそんな感情は疾うに売り切れている。 ] それに、もう俺は人を殺しているし。 [ 路地裏の角裏、伸びる影に隠れて立つ体を見降ろせば 真っ新な服を赤に濡らした昨日が見えて 奪うばかりの人間がうつっていた。 英雄を名乗るには黒に潰され過ぎているが 取引をするには十分な信用が見えるのだろう。 精一杯の振る舞いを糾弾する良心を殺したから、 小さくかぶりをふって。 ] (78) 2020/10/13(Tue) 0:06:56 |