【人】 3839 南波 靖史>>63 鏡沼 「他人事にしてたら相手に怒られるよ。これからまさか一人も相手にしないで日常に戻れるとは思えないし。ま、本当に戻ってくるかの保証もないし、女側しかやらないなら平気だろうけど」 爪切ってあげようか?と意地悪く聞いてくる。 最もここは院だ。ある程度は短くはあるだろう。 それでもあえて気まぐれに聞いて来ている。勿論切れる程度に伸びているなら本当に切って来ておかしくない。 「……。そう、そうだよ。 気持ちいいことが一番いいよ。 だって幸せでしょ?それが一番、さ」 一瞬『痛いのが好き』の存在を──正確には『痛いのすら好きになる』を思い浮かべたが、次に続いた“きもちいい”の言葉で意識は急速に切り替わった。最も脳内で行われている切り替えは表に出る事が無いのだが。 なお尋ねられた言葉には「うん」と曖昧で真偽が不明な答えが返される。よくどちらかわからない、或いはどちらとも取れる言い方を意図してか使ってくる男だ。答えの応酬が好きなのかもしれない。 (80) 2021/09/16(Thu) 3:17:00 |