![]() | 【人】 黒羽 咲夜[この世の果ての、さらに遠く。 異界の都市の町並みは、デザインは並外れてるけど、 これはお店だなって何となく分かる作りをしていた。>>73 文明ってそういうものかも。 行きつけらしいバーを指し示すイルシオンに、 元々好奇心旺盛なあたしは、二つ返事で頷く。 そんなの絶対行ってみたい。 薄暗い空間は、ホテルの中で目にするバーの雰囲気に 少しだけ似てた。 何か飲む?と尋ねるイルシオンに、弾む声でせがむ。] ここで飲まないって、ありえないでしょ。 [カウンターの向こうにバーテンダーは居なくて、 イルシオンが自分でボトルから注いでくれた。 乾杯、とグラスを掲げて一口啜ると、 アレみたい、と喩えられない不思議な味がした。 すっと鼻に抜ける清涼感。後をひく甘みと苦み。] うん、嫌いじゃない。 面白いね、これ。 [濡れた唇をぺろっと舐めて、すぐに二口目を口に含んだ。 ここならお酒かなって思ったけど、いくら待っても 酩酊感みたいなものは訪れなくて、 このひと、あたしに対して随分真面目だよね?って思う。 彼は夢魔で、ここは夢の中なのに。] (80) 2025/04/29(Tue) 5:41:12 |