>>80 アマノ
男は、退屈が何より嫌いだ。
ではここで、動きもせずに何をしていたのかというと。人の流れを見、遠くの人のざわめきを聴き、この場の静けさを感じ……つまりは、そう、ぼんやりしていた。珍しく。
跳ね飛び回るにはちょっと身体が重い。枷もないのに。
「……、ン」
そんな風だから、隣にあなたが来た時も、ややいつもよりは反応が遅れた。隣に座るのを見、気持ちあなたの方へ寄った。
「退屈してたぜェ。……えー、ッとォ…おはよ?おかえり?おつかれ?……うーン?」
どの言葉を送るべきか、が曖昧だ。
「えェと、……会いたかったァ」