【人】 法の下に イレネオ>>68 ペネロペ 薄闇の中だ。こちらは何も歴戦の戦士などではないから、即座にその人となりを見抜くのは難しかったはず。もしや墓参りの徒かと手帳を閉じ、しかし呼びかけられた名前に怪訝そうに顎を引いて。それから徐々に近づく容姿で、ようやく得心がいったと身体の力を抜いた。 「ペネロペ」 声は柔和。知り合いに向けるそれ。 この男にとって馴染み深いのは、パスティチェリアの店員である貴方だ。まさかマフィアだとは思いもよらないが、そうでなくても、こんなところでまで手伝いをしているとは知らず。 「こんな時間まで仕事か?」 驚きと関心を込めて問いかける。かんばせは貴方に向かって俯いて、薄暗い中でも一層暗くなるだろうか。どうあれ、声から伺うに、恐ろしい形相をしているわけではなさそうだ。 #共同墓地 (85) 2023/09/13(Wed) 0:09:45 |