【人】 灯守り“霜降” 月輪[ 長身でやや低めの通る声、洗練された所作の美男子で 明るく、竹を割ったような奔放な方かと思いきや 誰にでも気さくに接して下さる、心優しいお方。 私が蛍として初めてこの地に足を踏み入れた際も、 他の蛍に任せず、直々に温かいお茶とお菓子を 用意して下さいました。] 「そのように緊張せずとも、自分の家だと思い 寛いでくれれば良い。でないと俺が困る。」 [ と、優しく微笑んで下さったのです。 それでも緊張している私に、「毒など入っていないから」 と、目の前で同じものを食べ始めたり、 君が口を付けるまで話を始められない、と子供のように 私の様子を覗き込まれたり、震える手が動き始めると 「よし、いい子だ第一段階合格」と拍手して。 私が想像していた、恐れ多く近寄り難い “灯守り様” とは、多少違っていたのです。 あの時出していただいた、少し渋めの玉露茶の 色も味も温もりも、花型の桃色の練りきりの造形も 甘さも、忘れることはありません。] (85) 2022/01/16(Sun) 10:34:12 |