【人】 4274 素崎 真斗>>83靖史 「――……」 畳み掛けられる言葉を受け止めて。 深く思案の海へ沈む。 その間、数十秒。 靖史は、自分を人ではないと……思ってるのだろうか。 「…っ…………なれるとは、思ってないよ……。 俺と靖史は色んな所が違いすぎるし、逆に靖史だって俺のようには、なれない」 身体が震えた。 こういう、反論の余地すら挟まないような言い方をする人を、俺は知っている。 怖くて。 でもたまらなく、自分を見ててほしかった、あの人。 「学ぶのを、禁止されただけ。学ぶのが……怖くなった。学ばなければ、『いい子ね、お母さんが守ってあげるから』って笑ってくれた。 わからない、母さんにまた会えば同じになるのかも。 俺を見てって思うのは……、今も同じだしね」 (88) 2021/09/19(Sun) 11:57:26 |