【人】 死神のジン ナディル>>87 「…… 怠慢の罪 だそうだ。」幸せの運び手なれど…一度たりとも真の意味で 人を、幸せを、知ろうとしなかった。 自らの手で触れもせず、 表面だけを撫で遊び、真実から目を背け、 挙句自分の姿すら知らない。 ───それが、あんたの罪よ。 ラナーの声が俺を刺す。 幸せの運び手……そんな善いものだったのだろうか。 目の前の靄を払うように首を振る。 今更それを悔いたとして、何になる。 怠惰はジンの性質のひとつ。 勤勉なジンなど世に在ろうか。 「……で? シャフリヤール、お前の罪は何なのだ。 対価を払わぬことはあるまい? 桃の香が薄れる前に、腹の内を開け。」 まだ、宴席の灯は点されたばかりだった。 [パス] (89) kintoto 2021/09/19(Sun) 17:42:31 |