【人】 1年生 朝霞 純>>90 [最初に問題を起こしたのは、まだ幼い頃。幼稚園に通うくらいの年齢だった。 テレビを見て、兎を飼いたいと言ったのがきっかけだった。 私はその頃まで、自分の思い通りにならなかったことが殆どなくて、自分の望むことなら何でも叶うと思い込んでいた。 でも、お父さんから返ってきたのは否定の言葉。 “純、動物はね、飼えないんだよ。 お前は動物に触ると具合が悪くなってしまうから。 でも、それ以外のお願いだったら何でも言っていいからね。” 耳を疑った。嘘だと思った。 こんなに可愛い生き物に触って具合が悪くなるなんて。 私は信じなかった。 私は近所に犬を飼っている人がいるのを知っていて、ある日、親の目を盗んで、私はそこに訪ねていって、家の主人に犬を触らせてくれませんか、と尋ねた。 家の主人はいいよ、と言った。 腕の中に収まった可愛い柴犬。 人懐こくて、ふわふわで、愛らしいその姿。 私は幸せだった。 その数分後に意識を失って、次に目が覚めたのは病院だったわけだが。 その時に、お父さんが涙ながらに怒っていたことを、私はずっと覚えている。] (91) 2022/09/06(Tue) 18:50:06 |