【人】 迅雷風烈 ラサルハグ>>89 >>91 アルレシャ・バーナード 右手を前に翳して、まあ腕でも一枚のモニター代わりにはなるだろうと左腕で胸を庇う。 最悪死んでいるから、すぐに使えないこれは発動しないかもしれないが、それでも 死にに来る為にこの場に割り入ったのではない。 「そらみろ、 また 慢心するからだ」いつもそうだ。 俺に一度手酷く負けた時の理由だって同じだった。 あの時 も、油断していたから隙がつけた 。薙ぎ払うような風は随分いつもよりも荒れているように感じた。 だがそもそも、本来その風は乱暴なものなのだ。 ただ自分にとってはそれは殆ど、守りの為に振るわれていただけ。 そう言えば、今はこうして対峙しているが最初の処刑の際に守ってくれた二人だな、と思考の隅で気付いて。 あの時も無意識に選んでいた のか、と内心笑う。モニターの連窓を掻い潜った弾が着弾するのとほぼ同時に、もう一つの砲撃が衝突する。それはラサルハグの頬を幾つも割き、翳して開いた右手の手のひらを数発貫通し、念の為と庇うようにしていた左腕で数発受け止める。 拳はもう使えないだろう。最もこれから更に距離を詰めて殴り掛かれるほどのリソースも残っていなかった。 秒を待たずとも鮮血はあらゆる場所から滴り落ちるが、男の瞳は喰らう前から何一つ変わっていない。瞳の空と真逆の 赤 の範囲がただ広がっただけだとばかりに嗤う。心臓に傷がついていないなら何の問題もない。 貴方の風は、死に抗い、払い除けた。 (92) 2022/02/23(Wed) 4:08:40 |