【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 蝋燭の灯火に水をかけたかのように、 初めて、彼女の顔から笑みが消える。>>59 何気ない問いのはずだった。 こちらも思わず黙り込む。] ――神から賜った声で、歌で、人と競ったり、 金銭を得たりすることは、許されないのです。 [ 彼女はそう言った。 (――ウソだ。) ふいに思考が止まり、足下がグラつく。 発せられた言葉は、柱時計の鐘の音のように 脳内で反響し、まるで自分をこの場に縛り付ける ように覆い被さって… ] (92) 2020/09/20(Sun) 21:03:14 |