【人】 ラノベ作家 早乙女 咲花>>92 「……知らなかったのね」 『狼』同士で秘密を共有しているものだと思っていたけれど、 考えてみれば別にそんなルールは無かった。 兄妹としても初対面に近いと話していたし、このゲームが無ければ 何も知らないまま共同生活を送ることになるのだろう。 「宇宙人だろうが何だろうが、あなたが夜川 彗で 私の友達ってことに変わりはないわ。 作家として興味があることは否定しないけれど……」 それ以前に、あんなに楽しそうに愛読書の話を聞いてくれた相手を邪険にできるはずもなく。 ここで一緒に過ごし、語らった夜は、咲花にとってもかけがえのない時間だったから。 あなたの事をもっと知りたいと思うのは、ごくごく自然な情動だ。 「だから、彗さん。 これからも、どうぞよろしくね」 夜空に瞬く星のような無数の可能性の中から、 あなたと出会えた偶然への感謝を込めて─── これまでで一番の、花が咲くような笑顔を見せるのだった。 (93) 2022/02/06(Sun) 23:46:44 |