【人】 白昼夢 アルレシャ>>91 >>92 バーナード、ラサルハグ 秒。戦況とはそれだけあればいくらでも変えられる。 転がったまま撃った先、既に目標ではなく壁があったように。 それを跳ね除け抗おうとする風があったように。 間に合うに決まってる、と思ったんだろう? じゃあ、間に合うに決まってるんだ。 飛んでいった弾は幾つも赤を増やし、けれど2人の息の根を止めるには至らなかった。 ならば、ーーーいや、そもそも。ここに3人存在している時点で、狼の役目は終わっている。失敗だ。 立ち上がって後退する。2人が体勢を整え直す前に、できるだけ遠くへ。胴が軋み、傷口を濡らし、それでも意地で動く。動かねば。 片手でサブマシンガンの銃口を向けたまま、ひらりとスカートを翻し、その下から取り出すもの。 それは、掌サイズの球体だ。 ぐ、と口でピンを引き抜き、見せつける。 手榴弾と呼ばれる手投げ爆弾。 飛び散る破片で人を殺す道具を、2人の方へ目掛けて投げつける。爆発までに投げ返すことは難しくても、お前たちには風もモニターもあるだろう?どうにか頑張って防いでくれ。 勿論、アルレシャだって無傷とはいかない。飛んできた破片で幾つも傷を作るだろう。これは幻ではないのだ。 「……ちょっとは退屈は凌げたかよ?」 小さく呟いた声は、爆発音で聞こえなきゃいい。 (93) 2022/02/23(Wed) 4:32:52 |