【人】 従者 ヨシュア── 回想 ── [ 以前、お嬢様の付き添いで教会を訪ねた時。 聖歌隊の奏る荘厳な讃美の歌に、 わずかに眉根を下げた後。 膝を折り、手を組み、女神像に祈りを捧げる お嬢様を見守りながら。 少し離れた場所で、ぐるり、視線を彷徨わせ。 ] 失礼、神父様はいらっしゃいますか。 私はハイアームズ家の者です。 お嬢様がご挨拶をしたいと……。 [ それから、花瓶の水を替えていた娘を見とめれば、 足音を響かせぬよう、距離を詰めた。 自分は愛想のある顔付きではないし。 教会に住む娘の中には、男性が苦手な者もいる。 纏う雰囲気が、繊細や優雅さとは無縁なのを理解しつつ なるべく柔和な笑みを浮かべると。 娘の様子を伺いながら声をかけた。 ]* (94) 2020/09/20(Sun) 21:34:41 |