人狼物語 三日月国

246 幾星霜のメモワール


【人】 白昼夢 ファリエ

>>59 エミール

「お構いなく。わざわざ隠してるのをまた包帯巻きなおすのも手間でしょ?
 あなたがそこに在るっていうなら、私にはそれでおしまいです」

深く追求はしなかった。
たとえ嘘だとしても構わないと思う。
どこに痣が刻まれていようと、結局聖女に祝福されたという事実は覆らない。

「はい。教会に呼び出されるなんて初めてでこんなに簡単に終わると思っていなかったから、今日は1日お願いしていますよ」

人里離れた森林のような凪いだ瞳に優しさを見て取る。
明るく愛想を振りまく訳ではないけれど、子供たちに注がれる確かなそれは何度も見てきた。
どうやら、己の事を気遣ってくれているらしいことは伝わってくる。
子供のことよりも自分自身のことを考える時間を用意してくれる、のだろうか。
確かに今一人になって思考に耽っても生産的な結果になるイメージが浮かばないのは事実で。

「それじゃあ後で連れて行ってもらいましょうか。
 いつも通りに戻るために」

見慣れた物分かりのいい子供のような微笑み携えて。
ひとまずはこの状況にひと段落つけられそうに見えた。

「──もちろんあなたの奢りですよね?」
(95) shionsou 2024/01/28(Sun) 19:55:34