【人】 天原 珠月[自分たちのコテージまでの距離はそれなりにあった。 まず視界に飛び込んでくるのは広々とした湖だ。 ざぁぁ、とふいに風が吹いて、穏やかな湖面がやさしく揺らされ、これから落ちてゆくばかりの太陽の光をきらきら反射する。 澄んだ水の匂い。 風が耳元を過ぎていく音。 少し眩しい。一瞬目の前が霞む。] あっ、うん。 [知らず知らず魅入られたかのように突っ立っていたらしく、幼馴染の促し>>57に我に返って肩を揺らす。 金髪をひるがえし慌てて後を追った。 コテージは湖のすぐそばに建っていた。 ある程度年季は入っているのか木に艶があり美しく、手すりなどの木材を交差させたデザインがシンプルながらオシャレで、管理の行き届いた清潔感とぬくもりのある外観をしている。 ガラス窓が広い作りのため室内からでも湖が見渡せるだろう。 2階は狭そうだけれど何の部屋なのかな、と考える。 焚き火スペースに寄ってみると、そろそろ気温も下がって来る時間だと無意識に腕をさすり、焼き場を発見すれば……お腹に手を当てようとしかけて自制した。] (96) 2023/03/01(Wed) 12:25:32 |