【人】 医者 ノーヴァ[───……夜。 全てが終わり、見回りに訪れた自分の視界に現れたのは、苦しそうな姿勢で手を合わせる住職の姿だった。>>65 なんとなく恥ずかしいような、照れ臭いような、さまざまな感情がごちゃ混ぜになって思わずランプを追いやるように腕を真横に伸ばしていた。 きっと今の自分はその炎よりも赤い顔をしていただろうから。] ……そんなに拝まれるようなことはしていませんよ。 貴方が無事で本当によかった。 身体は暫く不自由でしょうが、 通常通りの生活が送れるようになるはずです。 ……これからは、 ワクチンについてもしっかり考えていきましょうね。 僕も拝むことができるように。……なんて。 [いつもよりも辿々しい口調だが、医者らしい言葉はかけられたはずだ。 今はただ、ひとつの限りあるものを救えたことで胸がいっぱいで。 戻った後、疲れの残るクマを目元に刻んだ儘涙ぐむジェインに爆笑されないかだけが心配だった。 心の救済者のメシアになれるのは、自分だけの特権なのだろう。] (96) 2022/11/06(Sun) 2:19:52 |