【人】 三年生 神田 京平ここはいつも静かやねぇ [風に揺れる木々の音 元気に鳴く虫の声 ほのかな光で夜を彩るホタルの光 座った場所から見えるのは夏水仙の花が揺れている 夏の終わりには彼岸の花も綺麗に咲く場所だ。] 明日、お祭りやから きっと賑やかな音もここには聞こえてくると思うんよ ────だから、楽しんでや [神田 京平はこのオンボロ神殿に住んでいるわけではない 物心ついた頃には彼は人よりも色んなものが見えていた。 親は精神的なものだと言い張り信じてはもらえなかった 小さな子供の小さな世界では大きなショックを受けたのが 記憶に残っている。 人にも人ではないものにも逃げたくなった彼の逃げ場所は はなひら神社だった。 でもここは地元でも有名な神社 人通りは常にあり人を恐れていた京平は逃げるように 神社の奥へと入っていった。 そこで見つけたのがこの場所であった。 不思議とこのオンボロな場所、そしてはなひら神社では 彼にとっての恐ろしいものを見ることはなかった そうして狐の面を手に入れるまで、いや手に入れてからも 彼の居場所は此処だったのだ。] (97) 2021/07/23(Fri) 16:18:27 |