【人】 ??? 工藤美郷──回想・廊下にて── [名づけの提案に、女は首を振った。] いらない。 あなたが何と言おうと、私も工藤美郷です。 [彼女の理想と、現実の彼女。それがどれほど乖離していようとも、もとは同じ一つのもの。 ならば違う名前などいらない。たとえ誰に認められなくても、偽物と呼ばれようとも、同じ魂の表と裏だと、彼女は信じているから。] そう……本当に、タチが悪い。 [気持ちを汲んで、その心に沿って行動することができるならば。 感情の癖の近しい相手であればあるほど、汲み取る精度は高まるのだろう。 多数派 けれど、工藤の心の傾向は、あまりにも“普通”からはかけ離れている。 やるせなかった。根底にあるのが善意であるが故に。] (97) 2022/09/08(Thu) 21:04:04 |