【人】 夜の一族 チャンドラ>>97 キエ 「ふふ、そうね。 あなたに教わったんだもの。ちゃんと覚えているわ」 考えること。他人の気持ちを思うこと。 この 篝火 を育むこと。忘れないこと。そうすることできっとわたしは、誰かを温める 篝火 になれる。「……想像してみたの。 本当にそうなったとき、本当のわたしはどうしたいのか。 やっぱりわたしは否定はしたくないわ。 でも、諦めながら待つのだって、嫌だもの」 わたしはやっぱり小鳥のことは責められない。 でも小鳥が月を目指したのを知って、悲嘆に暮れてあげるのもごめんだった。 なら、どうすればいいのかと思ったとき、浮かんだ答えはきっと『わたしらしい』ものなのでしょう。 「 わたしも一緒に行くわ 。だってひとりではどうしようもないことも、誰かが一緒なら立ち向かえるかもしれないもの。 挫けそうな時、力を貸すことが出来るかもしれないもの。 それに何よりどうしても、ひとりになんてさせたくないんだもの」 添い遂げるという言葉がある。 誰かと添い遂げることは、誰かを選ばないということでもある。 それでもわたしはその道を選びたかった。 選ばれなかった人はもしかしたら、そんな選択をするわたしに失望するのかもしれないけど、それでも。 (98) 2021/10/27(Wed) 22:28:37 |