人狼物語 三日月国

145 【R18G】星仰ぎのギムナジウム2【身内】


【人】 充溢 バレンタイン


中庭の木陰に腰掛けて、幹に背中を預けぼんやりしているうちに、もう結構時間が過ぎていた。
悪戯なのかなんなのか、頭には帽子の上から花冠が飾られてあって、けれど今にも落ちてしまいそう。

「……」

読もうと思って持ってきた本は、風に吹かれ勝手に捲られていて。というか、どこまで読んだかわらなくなってしまった。
風の精が読むなら一言断りを入れてくれてもよかったのに。

そうして暫く本を見つめた後、鬱蒼と茂る森──ギムナジウムの校舎から離れたその先に、じっと視線を向ける。ジャステシアが食堂に姿を現さなかったから、噂話も一層耳にすることが増えた。

「仲良くはしなくても……いいから、
 ……せめて、……いなくならなければ……」

朝のことを思い返しているのか、あるいは何か。ともかく、暫くはそこで何をするでもなく座っている。
(99) 2022/04/30(Sat) 15:06:51