【人】 蒼鉛の魔術師 ヴィスマルト[死に分かたれる事なく、姉は義兄と共に葬られた。 だが、それを幸いと呼ぶには、あまりに若すぎた。 葬列は長く伸び、 名だたる人物も花を手向けに訪れたが。 実際に二人と付き合いのあった者が、 どれほどいたのかはわからない。 そんな中。隅に追いやられていた、 差出人名のない百合の花。>>86 名を残さないからこそ、思いが残る気がして。 家 のために訪れた多数の弔問客。名 もなき花は不要だろうと、棺に入れた二輪の他は、全て引き取った。 雨に濡れる墓地の中、 泥に塗れて枯れて行くのは忍びなかったから。] (99) 2022/03/28(Mon) 6:42:26 |