【人】 花屋の主 メルーシュそして、この時から程なくして、リーズリー伯爵家から定期的に花の注文が入るようになったのだ。 注文は必ずといっていいほど、「その季節にこそ咲き、美しさが際立つ花や草木を」というもので、メルーシュは毎回、われこそはという店中の花たちと、ああしたほうがこうしたほうがと趣向を凝らしながら、仕立てることがとても楽しかった。 伯爵家も、そして時折店に花を買いに見えるこちらも上流階級と思しき女性も、皆様過分すぎる対価をと申し出てくださる。 そして必ず、最初に来てくださったかの女性と同じ言葉をかけてくださるのだ。 『多い分はお花達の輝きと あなたの腕前へのチップと思って頂戴な。』>>1:88* (99) 2020/09/25(Fri) 6:01:41 |