【人】 三年生 堂本 明菜― 回想:青果店屋台 ― [その昔、350g分の色とりどりの野菜を籠一杯に持った 妖怪野菜男(父親)が幼い堂本姉弟枕元に立ち、 野菜食え…野菜食え… と唱えていたことがある。それが夢か現だったかは定かではないが、 翌日からしばらく弟は泣いて野菜を食べていた。 まぁそんな話は置いておいて、] 4本も買ってくださるんですか? ありがとうございます。 じゃあお預かりしておきますね。 [代金を受け取りながら、実はトウモロコシとどっちが早く 本数売れるか勝負してるんです、なんて小声で伝える。 その後長尾の口から出た言葉には一度瞳を瞬かせて。 好きなんだねという言葉なら否定したかもしれないけれど 喧嘩するほど仲がいいって言葉もあるくらいだから、 仲が良くはあるのだろう、多分。 だから、普通に手を振り返してその背を見送った。*] (100) 2021/07/25(Sun) 17:36:33 |