【人】 羽井 有徒── 昼前、遊技室 ── [ゆっくりと過ごしていた。 大したことがないとは言え、運動はすこし難しい。 軽く走るだけで肩の痛みが酷かった。 しかたなく遊技室で撞球に興じていた。 多少の影響はあるが、利き腕でなかったことが幸いした。 そんな風に過ごしていたところ、部屋の外、ガラスの向こうに見知った顔を見つけた。] …………確か [名前は”ハナ”だ。 人をガラ悪そうとか悪くないとかいった生意気で、そして昨日牧場で真由美と一緒にいた青年。 ふと笑って、クイっとグラサンの位置を直すと、キューを手にしたまま部屋の入口まで行って声を掛けた。] よ、……一人か? [そんなものは見ればわかる、わかりきっている。]* (101) 2020/07/29(Wed) 20:02:50 |