【人】 綴 千翠― 夕暮れの海 ずっと変わらない時間 ― [打ち寄せる波の音を聞いて、 沈み行く陽の茜色を水面に映す海を眺める。 入院しているときからずっと、 時間を作っては眺めてきた海。 それは海の家を手伝わせて貰うことになってからも 変わらない。 見ているだけで、昨日のことのように悲しみが込み上げて、 見ているだけで、泣いてもいいんだって 慰められるようで まばらだった人影も、ひとりふたりと帰る場所へと戻り、 日中、あんなに人で溢れていたのが嘘のような時間。] (102) 2022/07/27(Wed) 22:43:20 |