【人】 四角形の記憶 卯波>>94 夕凪 「勿論、俺の写真で良ければ! いっぱい撮れるようにメモリ空けてきたので、 まだあんまり撮れてませんけどね……」 一度大きく頷いて、 カメラをちょいちょいと弄る。 田舎特有の爽やかな夏空の景色に、 帰省してきた人たちの様々な表情、 悠々と道脇を闊歩する野良猫まで。 あんまり撮れてないという言葉とは裏腹に、 既に結構な思い出の詰まった写真達が、 カメラの内側に写ることだろう。 「そうそう、添木兄さんは最初会ったとき分からなかったです……写真でしっかりと外見を覚えてたのに、それが仇になるなんて。 昔からの知り合いに、久しぶりに会うとやっぱり舞い上がっちゃいますよね!」 わかるわかる!だの、歳若さを滲ませる相槌を打ち。 波打つ心は、今にも走り出してしまいそうだった。 (103) 2021/08/10(Tue) 1:08:05 |