【人】 クラヴィーア[うちのシーモア家は昔からお人よし、という異色の貴族だった。 その異色の貴族は人々を大事にして、交流もたくさんして。 そしてお人よしが何故か遺伝する家系。 そんな中で育った私は元から貴族としては異色の考え方や発想をしていると思う。 自覚しているが己を曲げることはなかった。 うちの家の弱点は騙されやすい。それに尽きる。 父は狡猾で残忍だった。愛する人の為ならなんでもする。 ……少しだけ、私もそこは似てる気がしてそれに気づくと嫌な気分で一杯になった。 その家族の話をするとなると、どうしても許せないとか、ドロドロした気持ちを思い出して気分が悪くなる。 だから私は父や継母、妹の事については当時の新聞を渡すことにした。 主観より人の視点で書かれた記事の方が伝わると思ったから。 継母はもう少しで刑期が終わる。妹は修道院。 そして、父はもう…… いない。 その新聞に目を通したかどうかはこっちからはわざわざ聞いたりしなかった。 体だけじゃない。私は身内が犯罪を犯していた。 経歴にも傷を持っているということ。 それに対して思うところが出来ても、私は責めたりは出来ない……。 ] (103) 2021/04/01(Thu) 9:10:44 |