【人】 書生 茅[純粋で無垢だった心についた染みは、和紙に落とした墨汁のごとく、黒々として、広がってゆく。 『あの村は潰してかまわんか』>>86 問われた言葉に、それは無邪気に笑ってみせた。] いいよ! [今まで気づかなかった、否、目を背けてきたあらゆる『悪意』に気がつけば、それはもう、青年にとっては文字通り騒音に他ならない。 それに…… 語る天狗さまの言葉>>87を聞く内、背中の小さな翼がぱたぱたとはためく。 それは恐らく、『ごきげん』のしるし。 ヒトでなくなることに、躊躇は無かった。 だって、嫁にしてくれる。 ずっと、側を許してくれる。 他ならぬ、あんたが。 そして、最後の最後、思い出したように問われた内容に、声をあげて笑った。] (103) 2021/06/24(Thu) 20:06:57 |