【人】 給仕 シロタエ―― 仔狐亭 ―― [昼時の喧騒が終わって一息つくと、今度は早番の仕事を終えた人々が「仕事終わりの一杯」を求めてやってくる 「そう言えば例の魔法鍵、修復師が来て直すらしいぞ」 「あぁ、島の職人じゃ手を出せなかったってやつか」 「かなり特殊な奴だったらしいもんなぁ……銀鷹公も一安心か」 様々な品が集まるキュラステルは、当然それに携わる職人も多い 古の技術を学ぶためにと訪れたもの、技術を買われて呼ばれたもの 銀鷹公はその筆頭のような物で、自らできる修復に手は出していたのだけれど 黒鴉公が収集したものの中には「仕組みが解明されていないもの」もいくらかあるらしく 今回壊れた魔法鍵も何とか修復の「あて」を見つけた代物だった] 自分で直せないって、やっぱり残念だったりしないの? [職人の意地とか、と興味本位で娘が問うと、職人の一人が笑って言った] 「職人って言ったって専門外はさっぱりさぁ 特にああいう魔法具は力の強さや相性もあるから、迂闊に手は出せないしな」 ふぅん……それじゃ、銀鷹公がわざわざ招くのもわかるわね [下手に手を出して完全にダメにするよりは、そんなふうに捉えて相槌を打った] (105) 2022/11/06(Sun) 13:19:29 |