【人】 吟遊詩人 フェリックスもう10年程、病に臥せっているという どこか遠くの国の、 一人の王子様のお話。 その王子様は変わり者でね、 よく城下町にお忍びで繰り出す人だったわ。 お城の中にいるのが嫌だったのね。 口を開けばやれ政だとかやれ誰が時期王に相応しいだとか、 ギスギスした空気が息苦しくて、窮屈だったのよ。 やりたいことは何一つやらせてもらえず、>>1:132 むしろ馬鹿にして見下されたりしたこともあったようね。 城下町へ下りればありのままの自分でいられた。 得意のピアノで流行の曲を弾いて酒場を盛り上げたり、 談笑したり馬鹿やったり、とても王子様って感じじゃ なかったけれど、街の人たちには愛されていたはずよ。 だから優秀な兄弟たちを差し置いて、 その王子を王に、という声が段々と大きくなったわ。 逆に王侯貴族たちからは相応しくないという声が多くてね。 困り果てた王室は彼を城の中に閉じ込めたの。 そして王族としての再教育をうけさせる日々。 病に臥せっていると、民衆には報せてね。 でも閉じ込められたまま黙ってる王子じゃないのよね。 元々王位継承とか興味はなかったし。 本の知識じゃなくて自分の目で、 世界を見たいという 夢 もあった。 (105) 2021/08/21(Sat) 14:50:25 |