【人】 宝石ディーラー ユーリ・タカノ─回想2〜3年前/『ジュエリー・タカマガハラでの査定』 アリア…アリアリニコ… [目の前の人物は少々年上か。 丁寧な物言いや優雅な物腰を見ていると、 要職についているであろうことも察せられた。 これは上客だ…と思った途端に、 予約票で覚えていたはずの名前を噛んだ] はっ!……失礼しました、ベルジュラック様。 [その瞬間、相手はどんな表情をしただろう。 恥ずかしくて反射的に下を向いてしまったから見えなかった。 仕事ぶりで汚名を返上するべく、すぐさま作業に取り掛かる。 実はその時点での己の経験値は大したものではない。 それでも精緻な鑑別ができるのは『タカマガハラ』の魔道具のおかげだ。 父の眼の能力の複製…にはまだまだ叶わない。] “ナミウチアライグマ”のへそくりですか。 失礼、手に取っても? [是と言われれば、特別製の片眼鏡をかけ。 それから皮膚一枚より薄いかと思われる手袋を嵌めて。 硬質な宝石であればピンセットを使うのだが、真珠珊瑚であれば念のために。] (105) 2021/12/26(Sun) 14:38:32 |