【人】 “観測者” 処暑え……ええ、面白いですよ、皆さんの事を知るのは 非常に興味深いです [ 私の歯切れの悪い応答の間もじっと見つめられ、そして彼女は会話を続けようとする。 ……観察は好きだが、観察されるのは慣れない。 落ち着かなさに幾度か視線を彼女に遣っては、耐えきれずにまた逸らす、ということを繰り返しただろう。 気になさらず、と口に出せば、彼女は素直に頷いた。 先程謝られた時もそうだが、実際言葉を交わしてみると、見ているだけだった時よりも素直さを肌で感じる。 性格的、というよりは、子供のもののようなそれ。 それは彼女の“過去”に関係があるのだろうか>>78……否、これは唯の憶測に過ぎないから、言及するのはやめておこう。 「新しい『雨水』と言葉を交わす。素直な子だ。視線が痛い」等、本人の目の前で記していく。 その間も彼女はじーっと此方を見つめていただろうか。>>82 ……私も手帳から顔を上げて、じっと彼女を見つめた。 ] ………………… [ 普段よりも間近にある彼女の姿。見つめる間、言葉は発さなかった。 ……先代の雨水という人は、会合で私がこのように窓際の席にしても、目が合ってしまえば、此方まで来て話しかけてくるような、そんな人。 人の心を溶かすような、正に“雨水”の号のような印象の人だったように思う。 だからこそ、眩しく思ったし、最後まで苦手意識は晴れなかった。 しかし、彼女を前にして、少し懐かしいような感覚を覚える。 それは彼女が先代雨水の彼の“娘”であるからであるのか、 それとも、彼女もまた“雨水”に相応しい人物になりそだと、予感を得たからか。** ] (108) 2022/01/16(Sun) 16:03:56 |