【人】 灯守り 立秋[立秋の統治域で一人静かに暮らしている老人がいた。 その人物こそが、先代の立秋であり、先日号を退いた者であった。 静かに朽ちていく予定だった老人の元へ、ある日蛍の一人が訪ねてきた。自分の蛍でもあり、新しい立秋と契約を結び直した男性だ。彼に任せておけば安心だと思ったのに、わざわざ来るとは。嫌な予感がした。 それから、緊張した様子の彼の口から並べられた事実は、やはり先代の立秋にとって面白くない物だった。……新しい立秋が、命を落としかけたのだという。さらに詳細を聞き、老人は大きく溜め息をついた。] ……やれやれ。 仕方がないな。 [そして。 先代立秋は、再び灯守りとなった。 もう数十年も前の出来事である。] (109) 2022/01/16(Sun) 16:31:08 |