【人】 終焉の獣 リヴァイ[瞼が下りそうな怠惰感が全身を襲っているのに、開きっぱなしの窓から吹く風は刺すように冷たく、湿った鱗に叩きつけてくる。 「寒い」と抗議の声を漏らせば相手を片手で抱えたまんまよろよろと立ち上がり、雑な動作で再度閉め下ろす。 温もりを探すように雫を落とし、無抵抗のまま目眩と戦う相手を半ば引きずるようにして彷徨い───寝台を視界に入れればそのまま放り投げた。] ………………怪我は。 (あの子はいつも傷だらけだったから。) [相手に息があったのはひとつめの幸運。 命こそ存在されど、受けた傷の程度をこの目で確認しなければ満足できなかった。 ナイトガウンを邪魔臭そうにはだけさせれば、器用とはいえない鉤爪さばきで相手の身体を暴こうとする。 彼女に下心は皆無ではあれど───側から見れば夜這いと勘違いされていてもおかしくはない。 具合を直接見えなくとも、証明のように包帯が巻かれているのを見ることが出来たならば、そのかんばせは酷く歪んだに違いない。] (110) 2020/12/04(Fri) 0:01:47 |