【人】 室生 悠仁『 助けてくれてありがとう、……っす。 あんたたちは命の恩人だ。 』 敬語に慣れていないのか、申し訳程度についた語尾は 気にするほどでもないが。 その後に続いた言葉には思わず彼と顔を見合わせた。 警察に会いたくない。 だからこの場をすぐに離れていいか。 暴漢たちは様子を見るに酒に酔っていた。 だから、一方的に暴行されていたと思っていたが 少年にも後ろ暗いことがあるのだろうか。 お願いします、と頭を下げられて 戸惑いに少しの間俺は立ち尽くしてしまったが。 隣にいる彼は承知したらしい。 了承の言葉を零すと、少年に肩を貸し始めた。 (111) 2022/10/16(Sun) 10:59:01 |